フリーランス データサイエンティスト案件の特徴
さまざまな知識やスキルを必要とするデータサイエンティストですが、フリーランスとなるとさらに高いスキルを要求されます。
エンジニアとしての業務はもちろん、ときには顧客との直接のやり取りやコンサル的な要素を含む仕事まであり、幅広い業務に携わることが大きな特徴といえます。
業務内容
データサイエンティストの主な業務内容は、R言語やPython、SQLなどを用いてビッグデータの中から分析を行い、顧客の要望に沿った形にデータを組み合わせ、レポートにして結果を報告するというものです。例えば、データを分析してビジネスの課題を見つけ、その解決策を提案するといった業務内容の募集案件があります。
コンサルティング要素も求められる場合は、実際に客先に出向きヒアリングを行うケースもあります。
エンジニアとしてだけではなく、アナリストとしての高い能力も求められるため、スキルや経験によっては、ビジネスにおける意思決定を左右する重要な立ち位置となることも珍しくありません。
単価や年収の相場
簡単なデータ抽出であれば、案件の単価は60万円前後が相場となります。取り扱うデータによるものの、ハイスキルなデータサイエンティストになると単価が100万円以上の案件も存在します。
勤務体系
データサイエンティストの勤務形態は、契約先の企業に常駐して働くスタイルが主となります。パソコンがあればほとんどの業務を行えるため、案件によってはリモートワークが可能な場合もありますが、どちらかというと週数日勤務や時短勤務などのほうが検討してもらえる企業は多い印象です。
高単価案件の特徴
データサイエンティストの中でも高単価となる案件には、総じて「作業範囲が広い」という特徴が挙げられます。一部の業務しか行えない場合、対応できない業務を別のデータサイエンティストに依頼する必要があるため、どうしても単価は下がってしまいがちです。
また、高単価案件の大半は分析すべきデータ量が多く、複雑な分析を要する傾向にあります。案件によってデータの性質やセキュリティの重要度も変わるため、情報の取り扱いについて慎重かつ柔軟な対応が求められるでしょう。
フリーランスのデータサイエンティストとして年収を上げるには
先述した高単価案件の特徴を踏まえると、データサイエンティストとして年収を上げるためには「幅広い業務をそつなくこなせる能力」が必要といえます。
プログラミングスキルを磨くことはもちろんですが、プロジェクトマネージャーを経てプロジェクト全体の指揮経験を積んだり、デジタルマーケティングに関する知識なども身につけておいたりすると、さらに人材としての価値が高まります。自分で出した分析結果をもとにマーケティングのアドバイスまで行えれば、優秀な人材として年収アップが期待できるでしょう。
また、外国語を習得しておけば、グローバルな案件でも活躍できます。海外の顧客とのやり取りを円滑に進められるため、海外展開している企業などで重宝されるはずです。
フリーランスの場合、年収を上げるためには高単価案件も安心して任せてもらえるだけの信頼が必要です。スキルアップによって自身の市場価値を高め、企業とよりよい信頼関係を築く努力が重要となります。
データサイエンティストの基礎知識
販売データや顧客データをはじめとする膨大な情報は複雑化する一方で、一般知識ではそれらの分析も容易ではなく、多くの企業にとってこのビッグデータの扱いが課題となっています。そこで注目が高まっているのが、データサイエンスという業務です。
データサイエンスという言葉自体は古くから使われていましたが、今のようにデータサイエンティストという職種名が使われだしたのは2010年代からといわれており、IT業界の中でも比較的新しい概念といえます。
データサイエンティストとは
データサイエンティストとは、ビッグデータを専門的に解析することで、事業戦略の立案に貢献する人々のことをいいます。まだ職種としては新しいデータサイエンティストですが、企業にとってデータ活用の重要性が増すにつれて、その需要は急激に高まってきています。各企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進していくと、各企業の保有するデータ量が増え、結果としてデータを扱う人材が足りなくなることが見込まれます。
今後も必要性が高まり続ける職種と言えますので、知識や経験を積んでいけば、フリーランスとして高収入を得ることも夢ではありません。
今やデータサイエンティストは、さまざまなシーンで活躍の場を広めており、アメリカでは、有名大学卒のデータサイエンティストで年収2,000万円超という話もありますし、日本国内でも優れた技術を持った人なら年収1,000万円超を狙うことも可能です。
データサイエンティストに求められるスキル
正規・フリーランスを問わず、データサイエンティストには非常に多角的なスキルが求められます。
たとえばデータサイエンティストは、当然ながらデータを扱う仕事なので、高度なITの知識が必要となります。データ分析において必要なPythonやR言語、データベースを取り扱うSQL、大規模データの解析を効率化するHadoopの使い方などは身につけておくべきでしょう。大規模データの分析に必要な言語やスキルのほかにも、情報セキュリティや個人情報保護法の知識も欠かせません。
またデータサイエンティストは、データを収集・分析することが主な業務となるため、統計学や数学にも精通していることが求められます。統計学では回帰分析・順序尺度・比率尺度など、数学では確率統計や線形代数といった知識が必要です。
そして、忘れてはいけないのがヒューマンスキルです。データサイエンティストは専門的な職種ではありますが、ほかの職種と同様に説明力や折衝能力、会話力といったスキルも必要不可欠です。
専門的な仕事であるほど、依頼主はわかりやすい説明を求めます。フリーランスで高単価案件を狙うなら複雑な仕事を処理する必要があり、中には契約内容や納期を話し合って調整することもあります。
クライアントのビジネスモデルなどをもとに「相手が求めているデータはどのようなものか」を説明できたり、「どうすれば伝わるのか」を心得ているデータサイエンティストは、顧客の信頼を勝ち取り、高単価の案件を狙えるでしょう。
データサイエンティストを目指す方法
先述のような専門知識を身につけるためには、以下の4つの勉強法がおすすめです。今の自分に見合った勉強法を見つけて、しっかりと腰を据えて取り組みましょう。
書籍で学ぶ
データサイエンティストへの第一歩として、書籍で情報収集される方は多いでしょう。
しかし当然ながら、ITや統計学などデータサイエンティストに必要な幅広い分野の知識を学ぶためには、1冊では到底足りません。
「一般社団法人 データサイエンティスト協会」では、手引書として以下の書籍を推薦しています。
‐ 実践データマイニング—金融・競馬予測の科学(オーム社)
- データの見えざる手(草思社)
- Rによるテキストマイニング入門(森北出版株式会社)
参照元:http://www.datascientist.or.jp/dssjournal/link/books/
ネットで購入してもよいですが、可能であれば実際に書店に赴き、これらの書籍を手に取ってみるのがおすすめです。特に専門外の方が一から勉強を始める場合、何よりも「読みやすい」と感じる書籍を選ぶことが大切です。最初から自分に合った1冊をよく吟味しておけば、その後の学習も捗りやすくなるでしょう。
学習サイトで学ぶ
「仕事の合間に勉強したい」という方には、インターネット上で学べる学習サイトもおすすめです。最近ではデータサイエンティスト向けの学習サイトもあり、無料のものから有料のものまでさまざまなコースがあります。
以下、特におすすめの学習サイトを2つご紹介します。
・Aidemy Premium Plan
Pythonに特化した有料のAIプログラミングスクールで、受講期間内なら「データ分析コース」「自然言語学習処理コース」など、自由にコースを選ぶことができます。24時間チャットサポートを受け付けており、転職相談も可能です。参照元:https://premium.aidemy.net/
・Udemy
プログラミングに限らず、幅広く動画が用意されている学習サイトです。たくさんの講座から好きなものを購入することで視聴できます。セールもよく実施されており、1000円ほどから購入できます。データサイエンスに関するコースもかなり充実しています。評価数とレベルをよく調べ、自分に合ったものをチャレンジしてみましょう。参照元:https://www.udemy.com/courses/development/data-science/
資格を取得する
データサイエンティストやそれに類する経験が少ない方は、資格を取得することで自身の価値をアピールできます。以下の資格は、データサイエンティストに必要な知識の習得を証明してくれます。
・統計検定®
文部科学省や経済産業省も後援している全国統一試験です。データを客観的・科学的に解決する能力を証明するもので、1級~4級まであります。データアナリティクスを基礎とした「統計検定 データサイエンス基礎(CBT)」という検定もあります。参照元:http://www.toukei-kentei.jp/about/grade11/
・情報処理技術者試験
「IPA独立行政法人」が主催する国家試験で、情報処理の促進に関する法律に基づき、情報処理技術者として高い水準で知識や技能を証明するものです。経済産業省が認定しており、ITスキルを保有する人材の中でも特に高い情報技術の保有を証明します。参照元:https://www.jitec.ipa.go.jp/1_08gaiyou/_index_gaiyou.html
・アクチュアリー資格試験
「公務の記録員」を意味するアクチュアリー資格試験は、明治32年に創立された「公益社団法人 日本アクチュアリー会」が主催しています。確率論や統計学といった数理的な分野において、プロフェッショナルと呼ぶに値する能力を証明するものです。参照元:http://www.actuaries.jp/index.html
スクールで学ぶ
「独学では挫折してしまいそう」という方には、スクールに通って講師に教えてもらう方法がおすすめです。人に直接教えてもらうと、ほかの学習方法よりもモチベーションを維持しやすくなりますし、疑問や不明点があればすぐに質問できます。
自宅や職場から通える範囲にスクールがある場合は、無料体験に申し込んでみるのもよいでしょう。
フリーランス データサイエンティストの将来性と業界動向
「AIが発達すれば需要がなくなる」などといわれるデータサイエンティストですが、そのようなことはありません。
事実アメリカでは、将来性のある仕事第1位に選ばれるほど見込みの高い職業であり、今からでも知識や経験を積むことで、十分に高収入や高キャリアを狙えます。参照元:https://www.stat.uci.edu/slider/data-scientist-ranked-top-u-s-job-by-glassdoor/
広告業界で需要が高まる
データを活用するあらゆる業界で需要があるデータサイエンティストですが、特に需要が高まっているのが広告業界です。
デジタル広告がメジャーとなった今、広告業界では「顧客はどのような商品を欲しがっているのか」「どのように広告を打てばよいのか」という悩みが尽きません。
Web上の行動データを分析してマーケティングまで行えるようになれば、データサイエンティストとして高いポジションを狙えるでしょう。
スキルアップすれば”お抱えフリーランス”も目指せる
広告業界などではデータ分析を外注するケースも珍しくありませんが、将来的には内製化していくでしょう。優秀な人材が集まれば外注をやめ、自社でデータサイエンティストを抱えることが予想されます。
とはいえ、一口に内製化といっても、自社内で人材を育てるケースもあれば、信頼できるフリーランスに依頼するケースもあります。
データサイエンティストは新しい職業であり、知識や経験の豊富なシニアクラスが不足しているのが現状です。今から知識や経験を蓄え、シニアクラスのデータサイエンティストとして成り上がれば、フリーランスでも多くの企業から必要とされるでしょう。
まとめ
これからの企業の成長戦略において、データサイエンティストは欠かせない存在といえます。シニアクラスの人口が少ない今、しっかりと研鑽を積めば、フリーランスでも高収入・高キャリアを目指すことは不可能ではありません。
とはいえ、幅広い知識やスキルを要求される分野でもありますので、腰を据えて学習に努めることが大切です。