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Rubyエンジニアへの高まる需要と人気の理由
Rubyは、Web系のシステム開発案件などに用いられるオブジェクト指向言語です。オープンソース・ソフトウェア(OSS)のため、誰でも無償で使用することができ、ソースコードを改良・再配布することが可能です。
Webアプリケーション開発関連の案件に主な需要がありますが、中にはECサイト構築などの需要も。アジャイル開発を行う企業にとっては欠かせない言語でもあります。
Rubyの最大の良さは、他言語と比較して少ない行数でプログラムを作ることができること。更に「Ruby on Rails」という優秀なフレームワークが登場したことによって、Webアプリケーションの開発コストが革新的に下がって行きました。
日本で生まれたプログラミング言語ですが、近年海外での需要が急速に拡大しています。2014年には日本国内のRuby求人数をアメリカのRuby求人数が大幅に上回り、なんと日本国内の求人数の4倍もの求人数を誇るという結果になりました。
Rubyを採用している企業・有名Webサービス事例
現在Rubyを積極的に採用しているのは主にベンチャーやスタートアップ。とはいえ、国内外問わず誰もが知っているサービスも多数含まれています。(厳密に言うと、Ruby on Railsでの開発が行われています。)
海外Webサービス開発事例
- Github
- SlideShare
- Airbnb
国内Webサービス開発事例
- Cookpad
- 価格.com
- マネーフォワード
Wantedlyがサーバーサイド使用言語(創業年度別)をまとめた統計によると、2009年以前に創業された企業においてはPHPが優勢ですが、2011年以降に創業された企業においてはPHPとRubyの人気がほぼ互角と言ってもよいほどまでに人気が伸びています。
海外で起こったプログラミングやIT関連のトレンドは、2〜3年遅れで日本にも組み込まれていくことがほとんど。そのため、今後はスタートアップ・ベンチャー企業に限らずとも、更に需要が高まっていくことが予想されます。
Rubyが持つ3つのメリット
他の言語と比較した場合に、Rubyにはいくつもの特筆すべきメリットがあります。
プログラムがシンプルで、開発工数を削減できる
上述した通り、とても合理的でシンプルな言語なので、匿名関数の記述量も少なくソースが短くて済みます。「Ruby on Rails」を活用しながら開発を進めることで、開発工数そのものの時間や労力を大きく削減し、効率化することができます。
チームでの開発がしやすい
Rubyは可読性が高く、直感的に理解しやすいので、プログラミング初心者にとっても学習しやすい言語です。フレームワークである「Ruby on Rails」を用いていれば基礎がしっかりと固まっているため、複数のエンジニアが作業をしても、クオリティがバラつきにくいというメリットもあります。
日本語ドキュメントの多さ
元々の開発者が日本人のため、日本での愛好家が元々多いのもRubyの特徴。英語が苦手なエンジニアの方にとっては、日本語でのサポートが期待できることは大きなメリットになります。
その他にも、OSSのためバージョンアップが速かったり、PHPと異なり圧倒的に人気のあるフレームワークが既に存在しているため画一化がしやすかったり、とRubyならではの良さがあります。
Rubyエンジニアの求人案件は?高単価・高収入を目指せるか?
Ruby案件の単価は高め
Ruby案件の単価は50万円〜70万円台が目立ち、中には100万円クラスもあります。PHPが40〜60万円あたりの単価が相場であることを考えると、比較的高いと言えるでしょう。
フリーランスのRubyエンジニアが高収入の理由
フリーランスのRubyエンジニアが高収入の理由
高単価・高収入と言われる理由は、主に下記3つ。
- PHPやJavaなどの主要言語に比べ、まだ技術者の数が少ない
- 生産性が高く開発工程が少ないため、必要人員が少なくて済む(結果としてひとりあたりに配分できる報酬を多くできる)
- Ruby on Railsを使いこなすためには、システム全体への理解が必要(スキルの高さ・知識の深さが必要)
実務経験が5年以上のベテランRubyエンジニアにおいては、月収60万円以上の人も多く、中には年収1,000万円を超えている人もいます。
アメリカでは平均年収1000万円越え!?
2014年、アメリカにおけるRuby on Railsプログラマの平均年収は1300万円というデータが発表され、全プログラマで1位に輝きました。他のプログラマの平均年収は言語によってバラつきはありますが、360万円から600万円ともいわれています。
もちろん実務経験の長さやスキルの高さによって、大きな違いがあるとは思いますが、Ruby on Rails市場はRuby市場におよそ等しいので、アメリカにおけるRubyエンジニアが高収入の傾向があるというのは事実と言えるでしょう。
Ruby案件の主な仕事内容
Rubyスキルを必須としている案件はどのような特徴があるのか、いくつかのポイント別に解説します。
社内業務システム
社内業務システムの基盤に関わる案件が多数あります。Rubyは要件や機能が多く、継続的に運用していくようなシステムを構築するには最適です。また既存のシステムをRuby on Railsに仕様変更するといったプロジェクトもあります。
Webサービスのプロトタイピング
Webサービスのプロトタイピングのように、プロトタイプを構築して要件を洗い流してはすぐに作りなおすといったものは、従来だとスピード重視のPHPが最適だとされていました。しかし、Rubyでも速度重視の開発も十分可能となったので、近年では増加傾向にあります。
データ分析支援
ビッグデータ界隈でもRubyエンジニアは貴重な存在です。大規模チームを組んで過去データを元に商品販売計画を立てるようなプロジェクトもあります。
課金システム開発
課金と決済処理に関するプラットフォーム開発も増えています。コンテンツ配信プラットフォームを最初から構築するというのではなく、すでに運用中のコンテンツの課金・決済処理等のプラットフォームを追加するという開発になります。
ゲームプラットフォーム設計
新規ゲームのプラットフォーム開発など、プロジェクトの立ち上げ時から上流工程メンバーとして参加できる案件も少なくありません。近年ではソーシャルゲーム関連の案件も増えています。
動画プラットフォームの開発
動画サイトの人気はますます上昇中であり、動画再生のための運用設計、バックエンドの設計、実装、テストなどに関わる案件もあります。なかには大手動画サイトの案件もみつけることができ、開発環境が整備されている上に、長期契約となるケースも少なくありません。
Rubyのフリーランスエンジニアが高単価案件を受注するには
フリーランスとして高単価案件を受注するためには、どのようなスキルが必要なのでしょうか。Rubyの経験はもちろんのこと、異なる言語を理解していることも大きな強みになります。
堅牢なシステム設計のスキル
コンテンツ課金の課金、決済処理などの開発プロジェクトも多いRuby案件ですが、堅牢なシステム設計に詳しく、UMLなどを用いて要件整理、全体設計まで担うことができれば高額単価も狙えます。MySQLでの開発経験、AWSによるインフラ構築、gitやgit-flowへの理解も歓迎されます。
ネットワークインフラの基礎知識
オンラインゲームの開発案件の高額単価を狙うなら、サーバサイドの開発メンバーがおすすめです。ネットワークインフラに関する知識、データベース設計経験、ゲーム企画の経験などが必須となります。最新トレンドに関わる仕事なので、情報を素早く的確に引き出す能力も求められます。Unityやcocos2d-xを利用したスマートフォンアプリの開発経験があれば、より重宝されるでしょう。
アルゴリズム実装経験
ビッグデータの表示アプリ開発なども、高額単価案件です。Rubyでもアルゴリズム実装経験やクラス設計経験が必須とされます。SQLからのデータ抽出、JavaScript、JQuery、Ajax、API、JSONでの実装経験も問われます。コーディングスピードがあればさらに歓迎されます。
マネージメント能力
新規事業の立ち上げ案件も多いRubyですが、高額単価案件のプロジェクトマネージャーとしての求人もあります。ただし上流工程からの一通りの開発経験がありプロジェクト全体を見渡すことができる、マネージメント経験が必須です。さまざまなスタッフとやり取りをしなくてはならないため、人と接するのが苦ではない、コミュニケーション能力のある人が求められています。
チームワーク開発経験
Rubyは複数プログラマの分業が容易ですし、高額案件ともなれば大規模チームで動くことも珍しくありません。ひとりでコツコツ作業できる職人気質もプログラマには非常に大切ですが、同時に誰かとストレスなく協力できる能力もRubyの現場では問われます。チームワーク開発経験が必須とされる案件もあります。
ベンチャー企業での経験
Ruby案件のなかでも高額単価なのが、大手ベンチャー企業での案件です。若い経営陣はとくにRubyでの開発に意欲的な傾向があります。開発環境を整えるのにも積極的で働きやすい反面、どのようなツールを新しく導入したいのかなど、積極的に提案していく姿勢も問われます。ベンチャー企業ならではの意識のあり方を経験していると有利です。
Rubyの資格取得はフリーランスの武器となるか
求人数は増加の一途のRubyですが、フリーランスに転職しても活躍できるのでしょうか。またその際に資格を取得しておくべきなのでしょうか。
Rubyエンジニアは転職しても業界で活躍できるか
Rubyはフリーランスに転職しても、業界内で十分活躍できます。エンジニアだけではなくデザイナーもRubyのスキルを身につけ、フリーランスとして独立する人も少なくありません。
求人数も多いですが、高単価案件を狙っている人も多いのが現状です。そのなかで、エンジニアならではの強みをみせるために、技術者認定試験制度を利用することを検討しても良いかもしれません。
Ruby技術者認定試験制度とは
Rubyをベースとしたシステムの設計・開発・運用などを担うエンジニア、Rubyを教えている講師、Rubyでシステム構築することを提案するコンサルタントなどを対象とした試験です。
取得できればRubyエンジニアとしての技術力を持ち、高水準のシステム開発ができる証明になります。試験を目標に勉強することで復習にもなりますし、もちろん企業に向けてのアピールにもなります。
独立の際に習得しておくべきなのか
とくに資格がなくてもRubyを使用することはできますし、実力さえあれば仕事に差し支えはありません。しかしフリーランスとして独立するならば、実力を証明するような資格をひとつでも持っていたほうが便利です。すべてのプログラミング言語に資格試験があるわけではないので、Ruby技術者認定試験を受ける価値は十分にあるといえるでしょう。
またRuby技術者認定試験に関する勉強ツールは多数あり、たとえば参考書やオンライン学習教材など充実しています。一説にはほとんどのエンジニアが、自学で突破しているともいわれています。Rubyエンジニアとして仕事をしている人ならばなおさら、短期間の準備で合格している人も珍しくはありません。
まとめ
近年ベンチャー・スタートアップから、注目が高まり始めたRuby。案件の数という点では現時点ではPHPやJavaの方が多いものの、今後も求人の数は増加することが予想されています。報酬の高さもRubyエンジニアが重宝されていることを示していると言えるでしょう。
今のうちにRuby案件の実績を積み、更に日本で案件数が増えた時に高単価を狙える状況にしておきたいですね。