Azureのフリーランス案件とは
業務内容
フリーランス市場では、オンプレミスからAzureへの移行、新規でインフラ基盤の設計〜運用、既存システムの運用・保守などの業務があります。オンプレミスからAzureへの移行業務は、既にオンプレミス環境で構築されている環境をAzureへと移行する業務です。また、AWS / GCPなどの他のクラウドプラットフォームからの移行案件もあります。その場合には、セキュリティの観点から設計の見直しを行う必要がある場合があります。
▽ Azure案件の例
平均年収と単価相場
FAworksのデータでは、Azure案件の平均月額単価は72万円、最高月額単価は90万円、最低月額単価は40万円です。最高月額単価では、年収1,000万円を超えることも可能です。
高単価なAzure案件を受注するためには、
- 要件定義やマネジメントなどの上流工程の経験
- WindowsやMicrosoft製品への深い理解
- ネットワークやセキュリティに関する知識を習得する
- プログラミング言語やデータベースの理解(Webアプリケーションの開発経験)
などが求められます。 上流工程やマネジメントの経験が求められる案件では、月額報酬が70万円を超える案件も多いです。また、SREの需要も高まっているためインフラ設計〜運用に加えて、Webアプリケーションの開発経験があるとより高単価が期待できます。
必要なスキルと経験
基本的にはWindowsサーバー構築の経験やAzureの利用経験が求められます。また、案件によってはデータベース、ネットワーク、インフラ、プロジェクトマネージャー、プログラミング言語各種の経験が求められる場合もあります。オンプレミス環境での経験しかない場合には、自己学習の経験があるとアピール材料として使うことができます。
勤務体系
Azure案件では、フル出社もしくは出社とリモート併用の案件が多く、フルリモートで参画できる案件が全体の3割程度です。特に、PM / PMOやSREとして参画する案件ではフルリモート可能な場合も多く、案件によっては100%以下の稼働が可能な場合もあります。
また、ベンチャー企業を中心にフレックス制度を採用している企業も増えているため、現場の方針次第ではフレックス勤務が可能です。
初心者向け案件の特徴
Azure関連案件では、未経験でも参画できるようなものはほとんどありません。まだ経験がない場合には、オンプレの構築・運用案件に参画して経験を積み、さらにAzureに限らずAWSやGCPなどのクラウドプラットフォームでの開発経験を積んでいくことが必要です。
Azureの将来性とフリーランス案件の動向
調査会社のSynergy Research GroupとCanalysが発表しているクラウドインフラ市場シェアのデータでは、AWSが32%と最も高く、Azureが23%と続いています。AWSとAzureの差は年々縮まっており、2023年時点では両社のデータでも10%を切っています。
フリーランス案件では、オンプレ環境からの移行案件を中心に案件数が増加しており、今後も同様の傾向が続き、将来性が高いと考えられます。
Microsoft Azureとは?Azureとクラウドサービスの基礎知識
クラウドサービスの種類と特徴
クラウドサービスには、大まかに「SaaS」「PaaS」「IaaS」の3種類があります。Azureなどのクラウドプラットフォームは、一般的には、PaaSや、IaaSにあたります。Azureと同様の機能を提供するものには、Amazonが提供する「アマゾンウェブサービス(AWS)」や、Googleが提供する「グーグルクラウドプラットフォーム(GCP)」があります。
SaaSとは、「Software as a Service」の略で、「サース」と読みます。従来は、パッケージであったソフトウェアをWeb上で利用することを可能にしたサービスです。例えば、Excelと似たような機能を、Web上で提供しているGoogle スプレッドシートというものがありますが、スプレッドシートはSaaSで構築されています。データがWeb状に保存されているために、様々な端末からデータにアクセス可能で複数人での操作や共有が簡単です。
PaaSは「Platform as a Service」の略で、「パース」と読みます。アプリケーションを動かす基盤となるハードウェアやOS等のプラットフォームをWeb上で提供するサービスです。PaaSを利用することによって、アプリケーション開発以前のサーバーやOS、ネットワークの設定プロセスを効率的に進めることが可能になります。
IaaSは「Infrastructure as a Service」の頭文字を取った略語で「イァース」と読みます。仮想サーバーやネットワークなどのインフラを提供するサービスです。IaaSを利用することによって、インフラ面をクラウド事業者に任せることが可能となり、リソースの変更も物理的に所持しているものではないので容易に行えます。
Azureとは?
「Azure」は、Microsoftが提供するクラウドプラットフォームで、「アジュール」と読みます。2008年10月のMicrosoft社のデベロッパーカンファレンスで発表され、2010年10月に「Windows Azure」としてサービスを開始しました。2014年に名称が変更され、現在の「Microsoft Azure」となっています。
Microsoft Azureを利用する特徴・メリットには、分単位の従量課金制を採用していることや、リソースの拡張性・柔軟性に優れていること、データセンターが世界中にあるために、災害などにも強いことがあげられます。主に、ビジネスの課題に対応するクラウドサービスの集合体であり、基盤からアプリケーションまで自在に構築可能です。その有用性から民間企業に限らず、自治体などの公共機関でも利用されています。
Azureで実現できること
人工知能 (AI)・機械学習(ML)
AzureはAIやMLに関連するサービスも提供しており、Cognitive ServicesやAzure Machine Learningを利用して画像認識、音声認識、自然言語処理などを実現できます。
Cognitive Servicesは、クラウドベースのAIサービスで画像認識、音声認識、自然言語処理などの機能を持っています。Azure Machine Learningは、クラウド上で機械学習モデルを構築できるサービスで、データの前処理・分析やモデル構築などを行うことが可能です。
データ分析基盤の構築
Azureではデータ分析に関連するサービスも展開されています。代表的なサービスには下記のようなものがあります。
サービス | 用途 | 特徴 |
---|---|---|
Azure Synapse Analytics | 大規模なデータセットに対して高速な分析が可能なデータ ウェアハウスサービス | データの取り込み、変換、分析、可視化を一元的に管理 / リレーショナルデータと非構造データの分析を統合 |
Azure Databricks | ビッグデータ処理と機械学習を統合的にサポートするApache Sparkベースの分析プラットフォーム | Sparkクラスターの簡単な管理 / ビッグデータ処理、機械学習、データの探索的分析 / Python、Scala、Rなどの言語をサポート |
Azure Data Factory | 異なるデータソース間でのデータの移動と変換を行うETLサービス | クラウド内外のデータソースとの柔軟な統合 / パイプラインの視覚的なデザインと監視 |
Power BI | ビジュアルなデータ分析とダッシュボードの作成・共有 | 簡単に視覚化が可能 / 異なるデータソースからのデータ取り込み / 直観的なダッシュボード作成 |
Azure Stream Analytics | リアルタイムでデータストリームを分析するサービス | データのリアルタイム処理と解析 / ストリーミングデータから価値ある情報を抽出 / リアルタイムでのダッシュボード作成 |
フリーランスAzureエンジニアになるための学習方法
Azure学習法①:オンラインサービスで学習
現在は、オンライン講座が非常に充実してきているため、有料・無料を問わず、オンライン上でもさまざまな学習を行うことが可能です。特に、Microsoftが公式に用意している学習講座「Microsoft Learn」では、Azureのアカウント手続きをしなくてもハンズオン環境として利用することができます。
その他、プログラミング学習ができる無料サイトとして「ドットインストール」や、ブラウザ上でコードを書ける実践的なプログラミング学習サイト「Progate」などがあります。一方、有料のものでは、「Schoo」やIT系の話題を扱っている学習サイト「Udemy」などがあります。
Azure学習法②:セミナーや勉強会で学習
セミナーや勉強会では、実際に対面で話を聞いて情報を得たり、共に学習したりするスタイルが中心になります。従って、オンラインの学習ではあまりモチベーションがわかない方や実際の現場での知識を収集したい方に向いた学習方法です。
Microsoft社が公式に行っているAzureに関するイベントも多数あります。頻繁に行われており、時間も1〜2時間なので気軽に参加できます。Azureに限ったものではありませんが、IT勉強会を支援するプラットフォームである「connpass」や、IT勉強会、イベント、セミナーなどの情報を集めた「TECH PLAY」なども有名です。
その他にも、講師に教えてもらうというような形式のサービスもあります。しっかり教えてもらいたい方は、直接講師登録している方から教えてもらえる「ストアカ」、主にビジネスに関する専門的な内容について回答を得られる「ビザスク」、上記二つに比べると趣味なども含め気軽に利用できる「ココナラ」もチェックしてみると良いでしょう。
Azure学習法③:書籍で学習
自分でしっかり学習したい方やWeb上よりもまとまった情報が欲しいという方には、書籍を利用した学習がおすすめです。Azureのサービスは多岐にわたるので、書籍もAzureの用途ごとに多数存在します。従って、まずは、自身のニーズにあった書籍を見つけることが重要です。
初心者におすすめなのは、「Azure定番システム設計・実装・運用ガイド オンプレミス資産をクラウド化するためのベストプラクティス(日本マイクロソフト株式会社 著)」です。Azureが提供しているサービスのうち、何をどうやって選べば良いのかという疑問に対し、MicrosoftのAzureテクニカルサポートエンジニアが答えています。
まとめ
Microsoft Azureは、アプリケーションなどの基盤を提供するクラウドサービスです。用途は多岐にわたり、Webアプリケーションから機械学習まで幅広い使い方が可能です。フリーランス案件は、オンプレからの移行やインフラの構築業務が基本であり未経験向けの案件は多くありません。