
.NETと聞くと、C#やVisual Basicなどを思い浮かべる人もいるでしょう。ただ、.NETで開発するメリットや案件のジャンルなどがあまり知られていない部分も多いのも事実です。今回は、.NETの特徴や利用するメリット、フリーランス案件の特徴を解説します。高単価案件を獲得するコツを知りたい方にもおすすめです。
目次
最新案件
.NET系言語 フリーランス案件の特徴
どの言語を覚えるかによって.NETの案件は異なります。特にC#、VBといったプログラム言語において需要は高い傾向にあります。
VBが求められる企業は保険会社や金融機関などです。システムの開発や既存システムのメンテナンスなど、幅広い場面でそのスキルは求められます。
対してC#は、Windowsアプリの開発を行う企業で広く募集されています。Windowsが世界中で使用されている限りは案件がなくなることはないでしょう。また、アプリの開発のみならず、更新や保守・メンテナンスといった業務も必要なため、さらに需要は高まるものと見られます。
Windowsは世界シェアNo.1でもあり、そもそも.NETはWindows向けに開発されたフレームワークのため、安定性の面から見ても盤石です。
.NETのプログラム言語習得は他の言語と比べると、少々難解で覚えにくい部分もあります。けれども、他の言語と一緒に習得してしまえば、これほど覚えやすい言語もありません。そのため、.NETは他のスキルに比べて習得しやすいとされています。社内で教育を行う企業も見られるため、純粋に上記に挙げた業務のみで案件を取得することは難しいでしょう。
.NET案件の一例
業務内容
.NET系の言語は、社内にエンジニアがいたり、若手を起用したりするケースが多いです。そのため、「.NET開発チームの取りまとめ役」として、参画することが多いでしょう。
具体的な業務内容の例は、以下です。
- 「基本設計書の作成」などの上流工程
- 「テスト仕様書の作成」または「テストの主導」
- 「実装」または「実装担当者のマネジメント」
.NET開発でコードを書き、実装できる人は多いです。そのため、それらをまとめてプロジェクトを推し進める、PL(プロジェクトリーダー)に近いポジションが多いでしょう。1つの言語に限った開発だけでなく、「様々な言語に精通した、.NETの有識者」として参画するケースもあります。
平均年収と単価相場
平均年収・単価相場は、経験年数によって大きく開きがあります。
求められるスキルや作業内容は違いますが、20万以上の差があります。企業にもよりますが、.NET系の開発案件は月単価50~70万円での募集が多く、年収は540~840万円程度です。Java、PHP、Goなどに比べると、少し単価が安い傾向にあります。
ちなみに、Java、PHP、Goについては以下で必須スキル、年収などを詳しくまとめています。興味がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
- Javaのフリーランスエンジニアに必要なスキルと求人案件の特徴と年収相場
- PHPのフリーランスエンジニアに必要なスキルは?求人案件の特徴と年収相場
- Go言語エンジニアの仕事や年収からフリーランス求人案件の特徴まで紹介
必要なスキルと経験
.NETのフリーランス案件に必要なスキル・経験は、以下のとおりです。
- .NET開発のプログラミングスキル(C#やVB)
- 「基本設計 ~ テスト」まで対応可能なスキル
- DBの知識やSQLの開発スキル
- 他プログラミング言語の開発経験
これまでお伝えしたとおり、「.NETの実装ができるだけ」では他のエンジニアと差別化できません。そのため、「.NETで実装ができること」を前提とした、付加価値をつけることが重要です。「実装のスキルが高く、基本設計もできる」「.NET開発の実装時に、SQLも含めてコーディングできる」など、強みを活かせるスキルを鍛えていくと良いでしょう。
勤務体系
.NET開発の場合は、常駐型かつ週5の案件が多いです。.NET開発の場合は「Windowsアプリ開発」が多く、中でも業務系のアプリ開発が多いです。そのため、社内で使っているアプリや、データベースとの連携が必要となり、セキュリティの観点から常駐必須の案件が多いでしょう。また設計から参画することも多いため、週5での案件が基本となります。
初心者向け案件の特徴
初心者向け案件の特徴は、以下のとおりです。
- 実装のみ
- 基本設計 + 実装
「若手」であれば、経験年数が浅くても参画できるプロジェクトは多いです。
また、.NET開発言語を使った実装だけでなく、周辺スキルを活用した実装ができるとより案件獲得しやすくなります。具体的に言うと、SQLの実装スキルがあると重宝されるでしょう。
DBからデータを取得する際、処理速度高速化のため「DBに処理を任せるケース」は多いです。たとえばMicrosoftの『SQL Server』では、「ストアドプロシージャ」が作れます。複数テーブル、条件でデータ取得するSQLを「ストアドプロシージャ」化しておくことで、.NETの開発言語から「ストアドプロシージャ」を呼び出すだけで処理が可能です。
大規模なデータであればあるほど処理速度に大きく影響するため、SQLでの実装スキルは重宝されるのです。このように、実装に必要な周辺スキルを持っていれば、案件を獲得しやすくなります。
高単価案件の特徴
高単価案件の場合は、「基本設計~テスト」まで一通り対応できることが大前提です。それに加えて、独自の強みを持っていることが求められるでしょう。
たとえば、以下のようなスキルです。
- 『Redmine』を活用したマネジメントができる
- ツールを使って自動化テストが作れる
- 『JMeter』などのツールを使って負荷テストができる
- 『Microsoft Azure』などのクラウド環境で環境構築できる
上記はあくまでも一例ですが、開発する上で、知見が活かせるスキルがあれば、高単価を目指しやすいでしょう。
.NET系言語の将来性とフリーランス案件の動向
.NET系言語は業務系アプリの開発案件が多いため、これからも根強い人気があるでしょう。また、WindowsアプリだけでなくWebアプリ開発もできるため、案件の幅はとても広いです。対応言語も多いため、.NETの有識者になれば案件に困ることは少ないでしょう。ただ実装できる人は多いため、付加価値となるスキルを身につけておくのがおすすめです。自分が伸ばしたいスキルを見極めつつ、開発を進めていくと良いかもしれません。
.NETとは?今さら聞けない.NETの基礎知識
.NETとは、開発言語と勘違いされる方もいますが、Microsoft社が開発した「アプリケーションを開発するためのシステム基盤」のことです。.NETでアプリ開発するときは、.NET開発ができるプログラミング言語を選び、開発をします。
ともすれば「Windowsアプリ開発」のイメージが強い.NETですが、「ASP.NET」を利用して「Webアプリ開発」もできます。1つのプログラミング言語で様々なアプリが開発できるため、昔から根強い人気があるのが特徴です。
そんな.NETは比較的新しいプログラム言語ですが、その有用性から多くのサイトで.NETに関する記事が見受けられます。そのため、わからないことがあった時もネット検索するだけでいくつもの解決策が一覧表示されることでしょう。
.NETの歴史
.NETは、Microsoft社が2000年に発表したのが始まりです。当初.NETは「Microsoft.NET」として発表されており、現在のようにアプリケーションを開発するためのシステム基盤ではありませんでした。そのころの.NETは「あらゆる情報システム・デバイスを、インターネット経由で連携できる未来」を構想した「ビジョン」でしかなかったのです。
ビジョンを実現するため使っていた接続技術は、「XML Webサービス(SOAP形式のAPI)」です。ただ、Amazon Webサービス(AWS)のAPIとして提供されるようになったとき、事態は一変しました。AWSでXML Webサービスと同じく提供されていた「REST形式のAPI」の人気が高まり、ビジョン実現よりも先に、サービスとして提供できるよう対応を迫られてしまったのです。
その対応をするべく生まれたのが、「.NET Framework 3.5」です。「.NET Framework」は「ビジョン」ではなく、アプリケーションを開発するためのシステム基盤だったため、「Microsoft.NET」で構想したビジョンについては次第に語られなくなりました。
.NETを構成する要素
.NET Frameworkの構成要素は、大きく分けて以下の3つです。
- 共通言語ランタイム(CLR)
- 基底クラス・ライブラリ(BCL)
- 各種ライブラリ・フレームワーク
共通言語ランタイム(CLR)は、ソースコードコンパイル後にできる中間コードを、マシンが理解できる形式に変換して実行するための「エンジン」です。CLRのおかげで、様々な言語で開発できます。
また、開発時に便利な基底クラス・ライブラリ(BCL)や、各種ライブラリ・フレームワークも豊富です。言語に限らず利用できるため、.NETを使ったアプリに慣れていれば、様々な言語で開発がしやすくなります。
たとえば、.NETで使えるライブラリの1つに「NLog」(テキストリンク:https://nlog-project.org/)があります。これはデバッグで必要となる「ログ」を、簡単に任意の場所に出力できるライブラリです。他のプロジェクトで.NETを使う際にも使えるため、開発時にログ出力で悩む手間がなくなります。このように、.NETでは便利なライブラリが豊富にそろっているのです。
また、ライブラリやフレームワークの豊富さ以外にも、.NETには開発者と利用者双方にメリットがあります。
開発者にとってのメリット
開発者目線のメリットは、大きく分けて以下の3つです。
- 1. .NET開発に使えるプログラミング言語が豊富
- 2. 統合開発環境(IDE)の『Visual Studio』が簡単に構築できて高機能
- 3. 「Windowsアプリ開発」だけでなく「Webアプリ開発」もできる
.NETでは、以下プログラミング言語で開発ができます。
- C#
- Visual Basic
- C++
- F#
- Python
- JScript
「.NET開発」と聞いて「C#」や「Visual Basic(VB)」を思い浮かべる人は多いですが、関数型言語の「F#」、機械学習に強い「Python」、スクリプト言語「JScript」など、様々なプログラミング言語で開発ができるのは、開発者として大変ありがたいメリットとなります。データの分析をメインとしたアプリ開発では「Python」、汎用性の高い開発を進めたい場合は「C#」または「Visual Basic(VB)」のように、「プログラミング言語ごとの強み」を活かしてアプリ開発ができるのです。メインで開発する言語も変えやすいため、.NET開発経験を活かしてキャリアも築きやすいでしょう。
また、Microsoft社がリリースしている『Visual Studio』を、開発環境として利用できます。Visual Studioで環境構築する手順は、以下のたった2ステップです。
- 1. Visual Studioのインストーラーをダウンロード
- 2. Visual Studioのインストーラーを実行してインストール
Visual Studioのインストールさえすれば開発環境が整うため、セットアップも簡単です。さらに、「Windowsアプリ」「Webアプリ」の開発は、Visual Studioのプロジェクト作成時に選択できます。そのため、別途開発環境を用意する手間もかかりません。
利用者にとってのメリット
一方、利用者目線のメリットは、大きく分けて以下の2つです。
- 1. パソコンに最初から動作環境が整っているケースが多い
- 2. .NETのバージョンが最新でない場合も環境構築が簡単
Windowsアプリの場合は、.NET環境が利用者のパソコンに必要です。ただ、Windowsのパソコンには、最初から.NET環境が整っています。そのため、「基本的に何も用意しなくても、すぐにアプリが使えること」が最大のメリットと言えるでしょう。
また、仮に対象の.NETバージョンが入っていない場合でも、アプリインストール時に.NETをインストールできるケースも多いです。もしインストールされなかった場合も、アプリ起動時に「対象バージョンの.NETをインストールするWebページ」が紹介されるため、その場でインストールできます。このように利用者が困らないよう2重、3重に配慮されているため、リリース時の動作環境で悩む心配が少ないです。
まとめ
今回は、.NETの特徴や利用するメリット、フリーランス案件の特徴について解説しました。.NETの実装スキルだけでなく、付加価値となるスキルを鍛えていくと、案件が獲得しやすくなります。まずは、自分のスキルに合わせて、案件を探してみてはいかがでしょうか。その後、必要となる技術を磨きながら、高額案件の取得を目指しましょう。