
Microsoft Azure案件に興味があるフリーランスエンジニア向けに、案件の種類や特徴、高単価案件の情報までまとめています。また、Azureの基本情報やAzureを利用したサービス事例、費用、学習方法などについても紹介しています。
目次
- フリーランスAzureエンジニア案件の特徴
- Azureの将来性とフリーランス案件の動向
- Microsoft Azureとは?Azureとクラウドサービスの基礎知識
- フリーランスAzureエンジニアになるための学習方法
- まとめ
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フリーランスAzureエンジニア案件の特徴
業務内容
Azureでの主な業務は、「オンプレミスからAzureへの移行」や「Azureでのインフラ基盤の設計、構築、運用」を求める案件が多いです。オンプレミスからAzureへの移行業務は、既にオンプレミス環境で構築されている環境をAzureへと移行する業務になります。
また、AWSなどの他のクラウドプラットフォームからの移行案件もあります。Azureでのインフラ基盤の設計、構築、運用業務では、セキュリティの観点から設計の見直しや、ゼロからの立ち上げの場合に社内の調整も含めて依頼される案件もあります。
平均年収と単価相場
案件によって異なりますが、Azureを利用する案件の報酬はおおよそ70万円~120万円/月、年収にすると、800万円~1200万円となっています。
月報酬が70万円~90万円代の案件では、Azureや、Linux、プログラミング言語、データベースの一部等、案件に必要な最低限のスキルが求められます。100万円を越えるものになると、ネットワークの設計経験を求められるものや、プロジェクトマネジメントの経験といった高度な経験を求められる場合が多いです。
必要なスキルと経験
基本的にはWindowsサーバー構築の経験や、Azureの利用経験が必要になります。また、業務ごとに、データベース、ネットワーク、インフラ、プロジェクトマネージャー、プログラミング言語各種の経験が求められる案件もあります。オンプレミス環境での経験しかない場合には、プライベートでのAzure使用の経験があると良いです。また、インフラ系業務の場合には、事前にインフラ設計図を用意すると良いアピールになります。
勤務体系
業務の性質上、週5の常駐案件が基本になります。
初心者向け案件の特徴
Azure関連案件では、未経験でも参画できるようなものはほとんどありません。まだ経験がない場合には、オンプレの構築・運用案件に参画して経験を積み、さらにAzureに限らずAWSやGCPなどのクラウドプラットフォームでの開発経験を積んでいくことが必要です。
高単価案件の特徴
ネットワーク系の知識や、プロジェクトマネージャーなどの高度な経験、要件定義から対応する必要のある案件が高単価になります。
高単価案件の特徴としては、通常のAzure関連の知識のみならず、高度なレベルの知識や経験が求められることが挙げられます。そのため、上記に関連する知識・経験を身に着けていくことによって高単価案件を獲得できるようになるでしょう。
Azureの将来性とフリーランス案件の動向
市場調査会社Canalysが発表した2018年第2四半期時点でのクラウドインフラサービスのシェアは、トップがAWSで約31%、次いで、Azureが約18%です。(参照:https://business.ntt-east.co.jp/content/cloudsolution/column-06.html)現状のシェアはAWSがトップではありますが、調査会社Synergy Research Groupの、2017年第四4半期におけるクラウドインフラサービスの調査結果によると、AWSはシェアの成長率が鈍っている状況です。対して、マイクロソフトのシェアは徐々に伸びています。
フリーランス案件では、製造業や、官公庁でのオンプレ環境からの移行案件などが増加しており、今後も同様の傾向が続き、将来性が高いと考えられます。
Microsoft Azureとは?Azureとクラウドサービスの基礎知識
Azureとは?
「Azure」は、Microsoftが提供するクラウドプラットフォームで、「アジュール」と読みます。2008年10月のMicrosoft社のデベロッパーカンファレンスで発表され、2010年10月に「Windows Azure」としてサービスを開始しました。2014年に名称が変更され、現在の「Microsoft Azure」となっています。
Microsoft Azureを利用する特徴・メリットには、分単位の従量課金制を採用していることや、リソースの拡張性・柔軟性に優れていること、データセンターが世界中にあるために、災害などにも強いことがあげられます。主に、ビジネスの課題に対応するクラウドサービスの集合体であり、基盤からアプリケーションまで自在に構築可能です。その有用性から民間企業に限らず、自治体などの公共機関でも利用されています。
Azureを使うとどんなことができる?
Azureにできることは非常に多岐にわたります。
VM(IaaS)
WindowsやLinuxの仮想マシン(Virtual Machine)をクラウドで利用することができるサービスです。物理的に所持するものではなく、サービスとして提供されるマシンなので、使用目的や、予算に合わせて、適切なVMを用意することができます。
Azure SQL Database
SQLデータベースをWeb上で利用できるもので、SQL Serverと互換があります。
Cognitive Services
音声認識、自然言語処理、画像認識などを行う機械学習をWeb上で提供するサービスで、議事録の音声データのテキスト化、クレームテキストの分析による問題発見や、傾向調査など様々な用途に利用可能です。
Uber
AzureのCognitive Servicesを利用してドライバーの顔認識を行い、不正利用の防止に活用しています。
App Service
アプリケーションの実行基盤です。.NET, Java, Node.js, Python, Ruby, PHPなどのプログラミング言語を利用したアプリの開発を行えます。実行環境がサービスとして提供されるために、自社に環境を整える必要もないので、スタートからアプリ開発だけに集中できます。
Azure Blockchain Service
ブロックチェーンアプリケーションをクラウドで作成できるサービスで、一時期大きく盛り上がりました。現在でも活用している企業はあり、有名どころでは、XboxやスターバックスがAzure Blockchain Serviceを活用している事例を持ちます。
その他のAzureを利用したサービスの有名事例としては、建設現場のIoT利用で有名な「小松製作所」などがあります。小松製作所では、建設現場のICT化を推進しており、建設生産のプロセス全体を可視化することが進められています。そのシステムのIoT基盤としてAzureが利用されているのです。
また、民間企業だけでなく、長野県市町村自治振興組合などの公共団体でも、安定した自治体運営を進める基盤として、インターネット事務等で利用されています。
さらに詳しく知りたい方は、公式のMicrosoft Azureソリューションページや、成功事例を参照してください。(リンク:https://azure.microsoft.com/ja-jp/solutions/)
Azureって高いの?費用はどのくらいかかる?
Azureのデータセンターは、現在全世界55箇所に設置されており、日本国内では東日本と、西日本の2ヵ所にあります。(参照:https://azure.microsoft.com/ja-jp/global-infrastructure/regions/)内部の構造について知りたい場合には、公式にデータセンターツアーが用意されているので、Web上からデータセンターを疑似的に閲覧することが可能です。
料金については、構成により全く異なります。詳しく知りたい場合は、公式に公開されている料金計算ツールを利用して概算してみましょう。ここでは、例として「VM」と「Azure App Service」を使用する料金について紹介します。
「Linux Virtual Machines」を使用する場合、従量課金制であれば、一般的なVM利用で、1時間当たり9~14円です。時間単位では、安く見えますが、9円の性能であっても、月換算では、6000円を超えます。「Azure App Service」を利用する場合、こちらも一般的なプランを利用すると、1時間当たり9円~44円となります。
クラウドサービスの種類と特徴
クラウドサービスには、大まかに「SaaS」「PaaS」「IaaS」の3種類があります。Azureなどのクラウドプラットフォームは、一般的には、PaaSや、IaaSにあたります。Azureと同様の機能を提供するものには、アマゾンが提供する「アマゾンウェブサービス(AWS)」や、グーグルが提供する「グーグルクラウドプラットフォーム(GCP)」があります。
SaaSとは、「Software as a Service」の略で、「サース」と読みます。従来は、パッケージであったソフトウェアを、Web上で利用することを可能にしたサービスです。例えば、Excelと似たような機能を、Web上で提供しているGoogle スプレッドシートというものがありますが、スプレッドシートはSaaSで構築されています。データがWeb状に保存されているために、様々な端末からデータにアクセス可能で、複数人での操作や共有が簡単です。
PaaSは「Platform as a Service」の略で、「パース」と読みます。アプリケーションを動かす基盤となるハードウェアや、OS等のプラットフォームをWeb上で提供するサービスです。PaaSを利用することによって、アプリケーション開発以前の、サーバーやOS、ネットワークの設定プロセスを効率的に進めることが可能になります。
IaaSは「Infrastructure as a Service」の頭文字を取った略語で「イァース」と読みます。仮想サーバーやネットワークなどのインフラを提供するサービスです。IaaSを利用することによって、インフラ面をクラウド事業者に任せることが可能となり、リソースの変更も物理的に所持しているものではないので、容易に行えます。
フリーランスAzureエンジニアになるための学習方法
Azure学習法その1:オンラインサービスで学習
現在は、オンライン講座が非常に充実してきているため、有料・無料を問わず、オンライン上でも、様々な学習を行うことが可能です。特に、Microsoftが公式に用意している学習講座「Microsoft Learn」では、Azureのアカウント手続きをしなくても、ハンズオン環境として利用することができます。
その他にも、プログラミング学習ができる無料サイトとして有名なものに、1動画につき3分程度、基本無料で閲覧可能なプログラミング学習サイト「ドットインストール」や、ブラウザ上でコードを書ける実践的なプログラミング学習サイト「Progate」などがあります。
一方、有料のものでは、プログラミングに限らず大人向けの学習を配信するサービス「Schoo」や、IT系の話題を扱っている学習サイト「Udemy」などがあります。
Azure学習法その2:セミナーや勉強会で学習
セミナーや勉強会では、実際に対面で話を聞いて情報を得たり、共に学習したりするスタイルが中心になります。従って、オンラインの学習ではあまりモチベーションがわかない方や、オンラインでは知ることが難しい、実際の現場での知識を収集したい方に向いた学習方法です。
Microsoft社が公式に行っているAzureに関するイベントも多数あります。頻繁に行われており、時間も1~2時間なので気軽に参加できます。Azureに限ったものではありませんが、IT勉強会を支援するプラットフォームである「connpass」や、IT勉強会、イベント、セミナーなどの情報を集めた「TECH PLAY」なども有名です。
その他にも、講師に教えてもらうというような形式のサービスもあります。しっかり教えてもらいたい方は、有料にはなりますが、直接講師登録している方から教えてもらえる「ストアカ」、主にビジネスに関する専門的な内容について回答を得られる「ビザスク」、上記二つに比べると趣味なども含め気軽に利用できる「ココナラ」もチェックしてみると良いでしょう。
Azure学習法その3:書籍で学習
自分でしっかり学習したい方や、Web上よりもまとまった情報が欲しいという方には、書籍を利用した学習がおすすめです。Azureのサービスは多岐にわたるので、書籍もAzureの用途ごとに多数存在します。従って、まずは、自身のニーズにあった書籍を見つけることが重要です。
初心者におすすめなのは、「Azure定番システム設計・実装・運用ガイド オンプレミス資産をクラウド化するためのベストプラクティス(日本マイクロソフト株式会社 著)」です。Azureが提供しているサービスのうち、何をどうやって選べば良いのかという疑問に対し、MicrosoftのAzureテクニカルサポートエンジニアが答えています。
まとめ
Microsoft Azureは、アプリケーションなどの基盤を提供するクラウドサービスです。用途は多岐にわたり、インフラ基盤の構築から、アプリの開発、機械学習まで、様々な開発が可能です。フリーランス案件は、オンプレからの移行、インフラの構築が基本であり、基本的に未経験向けの案件はありません。